ー 西アフリカ旅行記 もくじ ー
1.モロッコ~西サハラ
2.モーリタニア鉄道撮影(本記事)
3.モーリタニア貨物列車乗車
4.モーリタニア・シンゲッティ訪問
5.セネガル鉄道撮影
西サハラを無事に抜け、この旅の最大の目的・モーリタニアへ入った。
といっても景色はさして変わらず、どこまでもつづく砂漠の中を車は突っ走っていく。
陽が傾き始めたころ、ヌアディブに着いた。
こう見えてモーリタニア第二の都市である。
やべえところに来てしまった。本当にここに鉄道が通っているのかと思わず疑ってしまう。
あらかじめ目を付けておいた宿。
ドアを閉めると熱中症不可避。
かといって開けっぱだと道路からフリーアクセスでセキュリティ皆無。
虫モリモリ。砂モリモリ。見た目独房。一泊1,000円。
人権皆無のレベルだが、欧米人がわりと多く居たのでまあ大丈夫かと投宿。
荷物を投げ捨て線路へ向かう。
大通りから1本外れるとレンガ作りの住宅街が広がり、チビッコがたくさん遊んでいる。
宿のセキュリティ具合からもわかるが、少なくとも昼間は治安の心配はしなくて良さそうである。
モロッコから西サハラ、モーリタニアと南下していくにつれ、黒人の割合がだんだんと増えていくのがわかる。陸路旅の面白さの一つであり、アフリカでしか味わえないことだろう。
ここヌアディブではアラブ系の人と黒人の比率は2:1くらいだろうか。
また宗教はモロッコ同様、モーリタニアもイスラムの国であり、人々の写真を撮る際は十分注意する必要がある。
Googleマップを事前に見たところ、撮影地までの経路の最大の難所は街と砂漠の境目に広がるゴミ捨て場である。
突起物を踏み抜かないように気を付け、ハエのたかるゴミの上を歩いていく。
柵を越えれば、砂と線路以外何もない地帯だ。
日没まであまり時間がないが、とりあえずここで列車を待ってみる。
時刻表などなくいつ来るかもわからない中、およそ1時間待ちで来てくれたのは運が良かったと言える。
次位にモーリタニア鉄道旧塗装(僕が勝手にそう呼んでいるだけだが)が就いていたが、願わくば運用数の少ないこちらの機関車を先頭で撮りたかった。
太陽も砂塵で霞んでしまったが、とりあえずサハラまで来てのボウズは回避できた。
多くの方はモーリタニアという国すらご存じ無いと思われるので、一応モーリタニアの鉄道について解説しておく。
詳しくはウィキペディアでも見てほしい。
モーリタニアの鉄道の特徴として、
①首都(ヌアクショット)を通っていない。
②ズエラト鉱山で産出される鉄鉱石輸送に特化。
③旅客輸送はわずか(※別記事で解説)
④世界最長クラスの編成。全長2kmほど。
⑤未承認国家(西サハラ)を通る箇所がある。
⑥全線がサハラ砂漠の中。ヌアディブ近辺を除いて人家はほぼ無い。
といった点があげられる。
簡潔にまとめると”限界”である。
意外かもしれないがモーリタニアは世界第7位の鉄鉱石の産出量を誇っている。
鉄鉱石業はモーリタニアのGDPの半分を占めており、その輸送を一手に担うモーリタニア鉄道は、言うなれば国の生命線なのだ。
そして、その鉄鉱石に積み出し港として栄えたのが、このヌアディブという街なのである。
翌朝、目覚めると昨日の砂塵はどこへやら。突き抜けるような青空が広がっていた。
この機を絶対に逃すまい。
いつ来てもいいように、食料を携え日の出とともに線路際に身を構えた。
砂の上で待つこと5時間、鉄鉱石がモリモリ積まれた貨車をアメロコの重連がドカドカと牽いてきた。
太陽の位置も良く、SD70の鼻面を際立たせる。
この塗装は、サハラの砂と空をイメージしているのだろうか。だとしたら本当に素晴らしい。
たぶんぼくは海外鉄としてこれ以上の激Vを撮ることは出来ないだろう。
そう思ってしまうくらい最高な条件で迎え撃つことができた。
WIFIカフェまで戻り、データを転送し一安心。
「RAWデータをクラウドに移すまでが海外鉄です」とよく言ったものである。
このアフリカの地では尚のこと。自分の命とVカットの安全が何よりも最優先される。
この日は終日よく晴れていたが、撮影は切り上げレストランで静養。
ヌアディブの街は中華料理屋が多く、タジンとクスクスに慣れ切った口内が癒される。
翌日の”貨車乗り”に備え、体力の回復を図った。
つづく。
(訪問日:2019.2.25-26)
〈旅行情報〉
・ヌアディブの宿
Baie Du Lévrier /Camping de Levrier
水シャワー・トイレ有。1泊15€くらい
・WIFI付きカフェ
Pâtisserie Pleine Lun
上記宿のすぐ近く。
・レストラン
Restaurant Galloufa 値段高めだがおいしい。
Restaurant Chinois HONGKONG 中華料理屋
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