トラム坂28〈ポルトガル 2019.3〉

リスボントラムほか


西アフリカ旅行で疲弊した身体を休めるべく、セネガルを発ちポルトガルの首都リスボンに降り立った。
さすがは太陽とワインの国、初っ端からバリ晴れでオタクを歓迎してくれた。

リスボンの中心地 コルメシオ広場
赤色の車両は観光用で料金は少し割高

 

その方面の有識者たちに「欧州3大トラムと言えば?」と聞けば、チェコ・プラハと共に間違いなくこのリスボントラムは上位にノミネートするであろう。

リスボンを訪れたおおよそ鉄道に興味のなさそうな女性旅ブロガーの約88%がこのトラムについて言及している(筆者独自調べ)ことからもその人気っぷりが伺える。

赤色や黄色をまとった旧車が美しい街並みをちょこちょこと動き回る光景は、鉄道ファンでなくともカメラを向けたくなるものだ。

 

プラタ通りを横切る28系統

 

リスボントラムの名を押し上げているのが28系統という路線である。

全車を戦前型の旧式車で統一された28系統は、リスボンで最も古いとされているアラファマ地区、中心街のバイシャ地区、サブカルチャーで賑わうバイロ・アルト地区など、リスボンの中でも魅力的な観光スポットを駆け巡る。
云わばリスボンを巨大なテーマパークと見立て、その中を周るハトバスな路線なのだ。

車内は観光客で大変混雑しているが、同時に観光客を狙ったスリも多発しているとのことで乗車には注意が必要である。

 

 

リスボンは非常に坂の多い街で、そのことがリスボントラム網が発達した理由ともいえる。
今は5系統しかないが、かつては27もの系統が街中を血管のように巡っていたのだという。(最大27系統にも関わらずなぜ今28系統という路線があるのかは謎である)

傾斜は最大13.5%にもなり、こんな急坂を古い車両が登れるのか疑問に思うが、中身は最新…とまではいかないが1990年代にモーターの更新が行われており、身体はジジイ・頭脳はピカピカの名探偵トラムなのである。

 

ガントレットに差し掛かる
陽気なポルトガルの人々

 

28系統では狭い路地を抜けるため、随所にガントレット区間がある。
左折する際にいったん右に膨らんでしまうオラオラ初心者ドライバーみたいなもんであるが、日本ではこのガントレットは廃止されており、線路が跨ぎあう光景は見ものである。

 

 

雨が強くなってきたので撮影は切り上げ、翌日に備えセトゥバルという港町へ向かう。
狙いはゲンコツこと、フランスAlsthom製のCP1930型機関車だ。

 

Coina付近にて


ゲンコツの目撃が上がっていた貨物線で一日張ってみたが、残念ながらゲンコツは現れなかった。
運用範囲はセトゥバルを含む南の一帯だと踏んでいたが、そう簡単に撮らせてもらえるほど甘くはないようだ。

代わりにCP1400(?)機関車の重連貨物を収めることができた。
ジェネリックデーテンと呼ばれるこいつ自体は操車場に掃くほど居るので貴重でもなんでもないが、重連で運用に就くのはそうないと思われる。

ちなみにポルトガルの旧型の機関車の大半が、このオレンジ色ベースの斜線ストライプ、いわゆる警戒色を前面にまとっている。
以前ポルトを訪れた際にも同じ塗装の機関車(Medway1960型)が多く見られた。

 

 

ポルトガルでの静養はこのくらいにして、更に英気を養うべくお隣の国へ向かった。

(訪問日:2019.3.8-3.9)

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